What's new

News & Events

第11回 Gateway to Life Scienceを開催しました

August 6 2024

「Gateway to Life Science」セミナーシリーズは、IRCMSがより市民に開かれた研究所となることを目指して実施しています。セミナーではIRCMSの研究者が自らが取り組む研究内容について非専門家でも理解できるように講演しています。Youtubeで各回のセミナー動画を公開していますので是非ご覧ください。

動画は以下のURLからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=5FhiaK_BA3w&t=13s

日時:2024年7月23日
講演者:三原田 賢一 特別招聘教授
研究室名:幹細胞プロテオスタシス研究室

  • プロテオスタシスとはプロテイン(タンパク質)+ホメオスタシス(恒常性)を組み合わせた言葉であり、タンパク質が安定して作られる仕組みのことです。
  • ほとんどの遺伝子はタンパク質になって初めて機能を発揮できます。
  • プロテオスタシスがおかしくなると細胞にストレスが起こります。このような現象を異常タンパク質ストレス(小胞体ストレス)と呼びます。
  • 胆汁酸は造血幹細胞のタンパク質を作る過程をサポートすることができるということを発見しました。
  • 抗がん剤治療などでも胆汁酸が加わると回復が早いことも分かっています。
  • 三原田研究室では熊本大学で独自の不死化赤芽球細胞株を樹立しました。   
  • 三原田研究室では不死化細胞株から脱核赤血球を大量に作成する技術を開発し、赤血球を体外で作製して輸血に利用する方法の開発が続けられています。本研究を発展させることで、安全かつ安定的な輸血用赤血球の供給につながることが期待されます。

Q&A:   

Q1. 若い頃の血液をとっておいて高齢のときに使えるのでしょうか。
不死化細胞株を作り、冷凍保存しておけば使用できます。

Q2. 胆汁酸異常が分かった際には何か手を打つことができるのでしょうか?
妊婦検診などで検査指標にすることができます。

Q3. 胆汁酸は抗がん剤の代わりになりますか?
胆汁酸が抗がん剤の代わりになるかどうかは断言できません。がん細胞の中には胆汁酸によって活性化するものもあります。再生不良性貧血においては、胆汁酸が血液の産生を促進することが示唆されています。

DSCF7356.JPG

IMG_9526.jpg

パンデミックの経験を通して、私たちは科学に対する信頼について再考することができました。一般的に、大学や研究機関で行われている研究は、多くの人びとにとって必ずしも理解しやすいものではありません。基礎生物学や基礎医学など、私たちの研究所についても同じことが言えます。本セミナーを通じて、全IRCMSスタッフの科学コミュニケーション能力の涵養に努めます。