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第7回 Gateway to Life Scienceを開催しました

June 20 2024

IRCMSでは、「Gateway to Life Science」セミナーシリーズを開始しました。研究スタッフと非研究スタッフがこれまで以上に協力することにより、より市民に開かれた研究所を目指します。パンデミックの経験を通して、私たちは科学に対する信頼について再考することができました。一般的に、大学や研究機関で行われている研究は、多くの人びとにとって必ずしも理解しやすいものではありません。基礎生物学や基礎医学など、私たちの研究所についても同じことが言えます。本セミナーを通じて、全IRCMSスタッフの科学コミュニケーション能力の涵養に努めます。

動画は以下のURLからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=uJPYBFO9qqc

日時:2024年6月13日
講演者:森嶋達也 特任講師
研究室名:幹細胞ストレス研究室 

  • ミトコンドリアtRNA修飾の欠損により、造血機能に様々な異常が生じます。
  • MTO1はミトコンドリアにおける特定のtRNAの修飾を助ける酵素であり、この修飾がなければミトコンドリアタンパク質がうまく作られません。
  • MTO1を働かなくしたマウスではミトコンドリアタンパク質がうまく作られず、胎児期に重度の貧血が原因で死亡します。成体では貧血に加えて白血球が顕著に減少し、骨髄の造血バランスが崩れるなどの異常がみられます。
  • 森嶋先生はtRNA修飾異常による造血異常の分子メカニズムを明らかにする事によってtRNA修飾異常と疾患との関連を調べ、さらにそれらの疾患・病態の治療や予防を目指して研究を進めています。

Q&A:   

Q1. MTO1がないとタンパク質の生成がうまくいかない原因はなぜですか?
tRNAが修飾されているとtRNAとmRNAの結合が安定化するため、タンパク質が適切に生成されます。一方で、tRNAの修飾を助ける酵素であるMTO1がないとtRNAの修飾が欠け、tRNAとmRNAの結合が不安定になり、結果としてタンパク質がうまく生成されません。

Q2. 血液の病気のうち特に治したい病気はありますか?
血液の血球成分がうまく作られない造血不全症という病気に興味があります。例えば先天性好中球減少症という病気は生まれつき好中球という血球が正常に生成されない稀な疾患で、抵抗力が弱まり、風邪などの感染症にかかりやすい特徴があります。小児科医としてこのような先天的に血球が正常に生成されない稀な疾患に特に注目しています。

Q3. tRNA修飾を治す仮説はありますか?
tRNA修飾を改善する仮説としては、タウリンの摂取が有効であるとされていますが、その他にもいくつかのアプローチが考えられます。ただし、栄養ドリンクを飲みすぎると糖やカフェインの摂取が過剰になり、健康に悪影響を及ぼす可能性がありますのでお勧めしません。タウリンを多く含む魚介類を含めバランス良く食事をとることをお勧めします。

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