研究交流活動

久保田翔 特任助教がルンド大学ステムセルセンターの20周年シンポジウムに参加しました

今回はスウェーデンのルンド大学ステムセルセンターで開催されたStem Cell Centerの20周年シンポジウムに参加しました。学会発表では、私たちの研究についてのポスターセッションを行い、多くの参加者から質問やコメントをいただきました。学会の規模はポスターセッションが100程度あり、全体で300名程度の規模の学会でした。企業からの支援は多く集まっており、10社程度の企業が参画してスポンサーとして参加していました。最大のスポンサーはコペンハーゲンに本社を置くノボノルディスクでした。ノボノルディスクはコペンハーゲンにreNEWという新しい幹細胞の研究施設のスポンサーも行っており、学術発展に寄与しているようでした。reNEWの施設からも血液のグループではありませんでしたが、Melissa Little, Christine Mummeryなど腎臓や心臓の幹細胞・オルガノイド構築を目指す研究者が参加していました。基礎研究というよりは、最終的に応用を目指した研究が多いという印象を受けました。

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研究発表を行う 久保田 特任助教

血液のグループからはTony GreenやDavid Scadden, Simon Mendez Ferrer, Nina Cabezas-Wallscheld、Dominique Bonnetなどの著名なPIからの発表がありました。Tony Greenは骨髄増殖性腫瘍に関する発表をしていました。基本的にはNatureで発表していた内容について発表をしており、JAK2変異体による患者におけるクローン進展に関する内容を発表しておりました。David Bryderは造血幹細胞の老化に関する研究を行っており、造血幹細胞の老化はPVAを用いた培養によって、一部回復するということを発表していました。David kentのラボからポスドクのJuan Rubio-Raraが発表しておりました。造血幹細胞のまわりについている分子を同定するというprojectで面白い部分もありましたが、同定されていたのはCollagen Iでした。Matrixを固着できる素材とともに培養しておりましたが、効果は限定的であるように思いました。メカニズムについて質問したところそれについては十分な回答が得られませんでした。個人的にはChristian BellodiのラボのSowandarya Muthukumarの発表が面白く感じられました。PUS7というtRNAの修飾にかかわる酵素の研究でした。AML特異的にtRNAの異常が蓄積しており、彼らのラボが展開している内容が広がっている印象を受けました。正常の造血幹細胞への寄与はないようですが。

 血液以外のグループで一番会場が盛り上がっていたのはHideyuki okanoの発表で、神経損傷治療の臨床応用の発表をしており、多くの質問が会場から上がりました。全体的に、マウスを用いた研究はヨーロッパでは少なく人の解析がおおいという印象を受けました。

 Lund-Kumamotoシンポジウムでは非常に活発に議論が行われ、何人かは発表をスキップすることになりました。GoranのグループはCMLの幹細胞をsingle cell RNA-seqで同定、CharlottaのグループはMLL-AF4の胎児ALLモデルの研究、ChristianはtRNA、Paulは体外Nicheの構築に関する話をしてくれました。Lund group photo.png