以下は、園田未祐さん(熊本大学医学教育部・博士4年生)による報告です。
2022年4月12日から5月5日の期間、イギリスに滞在し、Imperial College LondonのFaculty of Medicine, Department of Infectious Disease, Immunology および Human Retrovirologyの研究室を訪問した。
現地でProf. Charles Bangham, Prof. Graham Taylor, Dr. Aileen Rowanをはじめ同グループで研究に従事する方々に指導を受け、下記のような活動を行った。
・現在取り組んでいる研究テーマについてのディスカッション
現在取り組んでいる「HTLV-1 bZIP factorの病原性におけるPD-1抑制の役割」について、研究の概要およびこれまでに得られている結果を提示し、議論をした。海外における抗PD-1抗体薬の使用状況やHTLV-1が引き起こすATL(成人T細胞白血病/リンパ腫)の患者背景などには日本とは違いがあり、異なる視点からの知見やアドバイスを得ることができた。外部の研究者の方に話を伺うことで、論文化にあたり疑問を解消しておくべき点が明らかにできた。
・研究室の見学、研究紹介
現地の研究室の見学をし、行っている研究内容について紹介していただいた。自身の研究テーマと深く関連している内容もあり興味深かったのに加え、プレゼンテーションの仕方も勉強になった。日本から移住されている研究者の方にも話を伺い、海外留学も含めた自分自身の今後のキャリアについて考えることができた。
・データ解析手法のレクチャー
持参したNGSデータを用いて、解析手法を教えていただいた。実際のスクリプトを検証し、自力では分かっていなかった問題点を把握することができた。今後、さらに実験データを取得し、学習したことを生かし解析していく。
・HTLV専門外来の陪席
専門外来での診療に陪席させていただいた。日本とは患者年齢や使用できる薬剤などの違いから、選択する治療法も異なっており勉強になった。
国外で先進的な研究を行う機関を訪問することができ、非常に有意義であった。自身の研究テーマについて、今後も共同で解析を行っていきたいと考えている。また今後のキャリアについて、海外留学も含め視野を広げ、より具体的に考えるきっかけとなった。
(訪問したインペリアル・カレッジ・ロンドンのセント・メアリー病院にある、ペニシリンの発見者アレクサンダー・フレミングの研究室)